The Air Combat Tutorial Libraryによる基礎講座の第2弾は、尾輪式飛行機独特の地上での特性についてです。
グラウンドループと呼ばれる現象をどのように回避するかを紹介しています。
この記事の目次
尾輪式飛行機(Taildragger)
動画の最初でまず、尾輪式飛行機について説明しています。尾輪式飛行機とは、ジェット機以前のプロペラ飛行機によく見られた形で、機体のいちばん後ろに小さな車輪がひとつついています。
胴体や主翼の下についているメインの着陸脚(ランディングギア)=主脚は脚が長く、車輪も大きいのに対し尾輪は小さいので、尾輪式の飛行機は地上では自然と頭が上がった姿勢になっています。
地上では、小さな尾輪を引きずって動くのでTaildraggerというのでしょう。
尾輪式は地上での安定が悪い
動画では、まず尾輪式飛行機は地上での安定性が悪い点を紹介。
その理由をCoGが主脚より後ろにあるからと説明しています。
CoGはCenter of gravityの略で、つまり重心のことです。
機体の重心が主脚より後方にあるため直進安定性が悪く、これがグラウンドループを起こしやすい原因であると指摘しています。
クルマにたとえると、重量物が前にあるFF車は直進性がよく、重量物が車体中心にあるミッドシップエンジン車は回頭性がいいといわれているのに似た感じでしょうか。
グラウンドループ
グラウンドループは、地上でタキシングしている航空機や着陸で滑走している航空機が、コマのように回転してしまう現象です。クルマでいうスピンのようなものです。
グラウンドループが起きると、飛行機が滑走路や誘導路から外れて危険なだけでなく、場合によっては主翼を地面に打って破損するような場合もあります。
Youtubeにフライトシミュレータでグラウンドループを起こしているものがあったので紹介します。
グラウンドループの回避法
グラウンドループを避ける方法として次の5つが紹介されています。
- 前もってラダーを使う
- 高速時にはラダーを思い切り(Stab=刺す)踏み込む
- スロットル操作は滑らかに
- ブレーキは均等に使う
- 風向きを考慮する
尾輪式飛行機でのタキシング
次のパートでは尾輪式飛行機のタキシングについて紹介しています。
直進しない
尾輪式飛行機でのタキシングでは、直進せず緩く蛇行する(S-Turn)ことで、視界を確保します。機首が上がっているため真正面がほとんど見えない尾輪式飛行機では、蛇行による視界の確保が重要です。
蛇行するときは、エルロンとラダーを使っています。
ヨーをラダーやブレーキでコントロール
スロットルを開いてエンジン出力が上がってくると、ヨーが発生して機首が横を向こうとするので、ラダーやブレーキを使ってコントロールします。
外をよく見て、ラダーやブレーキで方向を調整しながら、反対方向へのターンを繰り返して蛇行します。
ラダー、スロットル、ブレーキいずれも前もって予測しながらコントロールするように心がけます。
地上での旋回のまとめ
- 機種が動くまでラダーを踏み、その後中立に戻す
- ブレーキと反対方向のラダーで旋回を止める
フルストップランディング
動画の最後は、着陸から静止までの流れでグラウンドループを防ぐ操作の例です。
コックピットビューと画面右上に表示される後方からのビューの見え方をよく観察しましょう。
- ラダーは刺すように(踏む)、ホールドしない
- ブレーキはラダーがニュートラルの状態で掛ける(両方のトゥブレーキを同時に)
- パワーを維持する
タキシングのまとめ
- 可能なら尾輪のロックを解除する
- クロスウィンドでのタキシングではブレーキとラダーをいっしょに使う
- 必要なら左右のブレーキを別々に使う
- タキシング中にパワーをかけるとヨーモーメントが発生する
おまけ、フルストップランディングの例
フルストップランディングの例を、Yak-1/La-5/Lagg-3の3つの機体で紹介した動画があります。
外部視点で見ると、エルロンはいっさい使わずラダーのみが動いています。動画ではわかりませんが、ブレーキも当然使っているものと思われます。
また、ラダーの動き(タイミング)から見て、機首を積極的に曲げるために使っているのではなく、動きを抑える形で使っているようです。