の動画を勝手に引用、紹介しながら飛行機と操縦の基礎を学ぶ独習シリーズ。
今回からCEM(Complex Engine Management)というシリーズです。第1回はエンジン制御の基本となるミクスチャーとラジエーターの使い方について。
この記事の目次
高度に応じてミクスチャーを調整する
ミクスチャーはエンジンの燃焼に必要となる、燃料と空気の混合比率(空燃比)。
ミクスチャーの調整パターン
空気に対する燃料の比率を増やす。>エンリッチミクスチャー
空気に対する燃料の比率を減らす。>リーンミクスチャー
高度とミクスチャーの関係
空気の密度は飛行高度によって変わるため、上昇や降下に合わせてミクスチャーを調整する。
高度が下がったばあい(大気密度が濃くなる)>エンリッチ方向に調整
高度が上がったばあい(大気密度が薄くなる)>リーン方向に調整
ミクスチャーの3タイプ
ミクスチャーはおよそ次の3タイプに分けられる。
-
Enriched
-
Best Power
-
Best Economy
排気炎の色によって状態を見分けることができる。
離陸と上昇時はEnriched
空燃比が非常に大きく、燃料による冷却が行われている状態。
排気炎の色は黄色~オレンジに見える。
離陸および上昇時に使用する。
空戦中は最大出力が出せるBest Power
可変ピッチプロペラのばあいは、最高速度が出せる状態。
固定ピッチプロペラのばあいは、最大回転数になる状態。
戦闘時に使用する。
経済的に巡航できるBest Economy
出力を抑えて長時間飛行するためのセッティング。
ベストパワーより僅かにリーン寄りの設定。
排気炎は青白い。
巡航時に使用する。
空燃比が低すぎるとエンジンを損傷する
ミクスチャーがリーンすぎるとエンジンが過熱し、点火タイミングが早くなるため異常燃焼が発生する(デトネーション)。
デトネーションはエンジンを損傷させる。
リーンになりすぎないようにする。
高度に応じてミクスチャーを調整する
高度が異なると大気密度が変化するため、ミクスチャーを調整する。
上昇することによって大気密度がさがるため、空燃比は自動的にリッチ寄りになる(ので調整が必要)。
ラジエーターの使い方
ラジエーターはエンジンの熱を放出する機構で、速度とトレードオフの関係にある。
ラジエーターによる速度への影響
ラジエーターを開く > 温度が下がり、速度は低下、抵抗が増える
ラジエーターを閉じる > 温度は上がり、速度は上昇、抵抗は減る
ラジエーターにはウォーターラジエーターとオイルラジエーターのふたつがあり、別々に操作できる。
両方のラジエーターを開くと速度は低下し、両方のラジエーターを閉じると速度があがる。
ミクスチャーとラジエーターのまとめ
今回の内容はわかりやすいですね。
上昇すると空気が薄くなるので、そのままほっとくと燃料が濃くなり過ぎるからミクスチャーはリーン方向へ調整。逆に降下すると空気が濃くなって燃料が少なくなりすぎるからリッチ方向へ調整です。
特にリーンバーンになりすぎると、エンジンが過熱してデトネーション(ノッキング)で壊れてしまうので、着陸前に高度を下げるときは注意です。
それからリッチにしすぎると燃料のムダなので上昇時にも調整が必要です。
動画のベースになっている空戦シミュレーター"IL-2シュトルモビク"では、エンジンの排気炎が見えるので、ミクスチャーの状態を目で確認できるというのもおもしろいし、説明する文字の色を排気炎の色に合わせてイメージしやすくしているのも、理解の助けになりました。
余談になりますが、一時期ウッドガスストーブの自作にはまっていたときは、完全燃焼をめざしてブルーフレームになるように工夫していました(可燃性ガスが多すぎるエンリッチ状態だと、ススが多いので)。